【池田商店様事例】みんなが笑顔になる給食を、豊富な商品規格とアレルギー対応パンで実現! 学校給食向け商品開発の舞台裏

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香川県を中心に、学校や病院等の施設に食品の卸売をしている株式会社池田商店。地元密着型の食品卸業者として、地域に求められる食品を届けています。
そんな池田商店が現在四国県内の小中学校に届けている給食の一つが、オリエンタルベーカリーの「麦コッペ」。なぜ大阪のメーカーであるオリエンタルベーカリーのパンを給食用に卸すようになったのでしょうか。高松エリアの拠点長を務める池下修弘氏と、オリエンタルベーカリーの営業担当松井紗代子に、学校給食用のパンに求められるニーズと、商品開発への取り組みについて話を聞きました。

小学生から中学生まで、様々な子どもたちの成長にあわせた10g刻みの規格

――はじめに、池田商店様の事業内容などをお聞かせください。

池田商店 池下様(以下、池下):池田商店は香川県、徳島県、愛媛県、高知県の学校や病院、福祉施設などに食品を卸売している企業です。主には国内大手の食品メーカーから商材を仕入れ、お客様のご要望に沿った商品を納品しています。商品は指定されることもあれば「こんなイメージのものはないか」とご相談を受け、提案のうえ納品することも。現在オリエンタルベーカリーさんから仕入れている麦コッペの納品も、先生方からのご相談からスタートしました。

株式会社池田商店 池下修弘氏

――どのようなご相談だったのでしょうか。

池下:学校給食は5年に1度、時流や子どもたちの成長に合わせた栄養価の基準改定が行われます。直近の見直しでは、減塩や鉄分強化が図られました。先生方は新しい栄養基準を踏まえて献立を考えなくてはならないのですが、これがかなり大変な作業。少しでも何かサポートをしたいと思いました。先生方のお話をうかがううちに、課題の一つがパンであることがわかりました。香川県では、子どもたちの成長に合わせて、含有する小麦の量を10g単位で細かく規定しているので、それに応じた商品を納品してほしいと言われたんです。

――子どもたちの年齢や体格などに合わせて、様々な規格が必要とされているんですね。でも、そのようなニーズを満たすのは簡単ではなさそうです。

池下:そうですね。けれど、私たちの基本理念は「感謝」。「感謝」は届けるものであり、また受け取るものです。そのためにはできることをしようと考えました。また、私たちは地域に密着した企業として、アレルギーを持つお子様など弱い立場に置かれがちな人々を守る義務があると考えています。そのためにもこの仕事は引き受けなくてはならない。そこから必死にメーカー探しを始めました。

おいしいパンで残食が減り、子どもたちの笑顔が増えた

――「感謝」が初めの原動力になったのですね。最終的にオリエンタルベーカリーのパンを導入することにした決め手はなんだったのでしょうか。

池下:学校給食は基本的に地元の業者から調達することが原則なのですが、当時は地元のベーカリーが廃業したこともあり、新たに条件に合う業者を探す必要がありました。しかし、規格を満たし、かつアレルギーに配慮した常温パンを給食用に大量に製造できる業者はなかなか見つかりませんでした。そんなとき、地域のある病院でオリエンタルベーカリーのパンを使用しているという話を耳にしたんです。さっそくコンタクトをとってみると、規格に合わせた商品開発が可能なだけではなく、乳・卵・大豆不使用のアレルギー対応パンも展開しているとのこと。さらに、個包装で衛生的だったことも決め手の一つでした。
このようにニーズに合ったパンを提案することで、先生方から「ありがとうございます」という感謝の言葉をいただけたのは大変嬉しく、今でも記憶に残っています。
また、導入後に塩分含有量の調整をする機会があったため、オリエンタルベーカリーさんに、さらに栄養バランスもおいしさも両立できるパンへとリニューアルを行っていただきました。

オリエンタルベーカリー 松井(以下、松井):地域と密着している学校給食だからこそ、私たちは地元の企業さんの手が回らないところをサポートするぐらいの気持ちでいます。私たちができることをお手伝いさせていただいているという認識ですので、こんなにも喜んでいただけていることをとても嬉しく思います。

――オリエンタルベーカリーのパンを導入した後、実際に給食を食べる子どもたちの反応はいかがでしたか?

池下:実際にパンを学校へ届けに行くと、子どもたちが「今日はパンだ!」と喜んでいる姿を目にすることがあります。また、おいしくなった分、残食も減ったと先生方から聞いています。さらに、規格に合致して塩分を抑えたパンを納品できるようになったことで、献立全体へもいい影響を及ぼすことができたようです。パンだけで一食分の摂取目標とされる塩分量に近づいてしまうと、他のメニューの自由度がなくなってしまい、献立の幅は狭まってしまいます。しかし適切な規格のパンを導入することで、より様々な食事を子どもたちに楽しんでもらうことができるようになりました。

初めての学校給食への挑戦。両社二人三脚で安定供給をめざす

オリエンタルベーカリー 松井紗代子

――このように細かな規定のあるパンを作る上で、開発の際には色々な苦労があったのではないでしょうか?

松井:学校給食用パンの開発は、オリエンタルベーカリーにとって初めての経験でした。ご相談を受け、なんとかご希望に沿った商品を開発したいと思いつつも、当時(※2016年)は学校給食用のパンの知見が全くないところからのスタートでしたので、正直、最初はお引き受けしてよいものか悩みました。しかし、池田商店さんのお話を聞くうちに学校給食への関心がどんどん高まってきたんです。地域貢献のため、子どもたちのため、そしてオリエンタルベーカリーが新しい挑戦を続けるためには、ぜひチャレンジしようということになりました。

――実際の商品開発はどのように行われたのでしょう。

松井:まずは、池田商店様へのヒアリングを重ね、学校給食用のパンに求められるものを一から理解するところから始まりました。塩分量や小麦量の基準を満たすために理論上は問題なくみえることでも、実際に焼成してみると充分に膨らまなかったり、焼き色にムラがでたりと様々な課題はありました。しかし、そんな中でも製造部と試行錯誤を重ねながら、安定した製造を目指しました。

機内食や病院食の経験が生き、安全でおいしい商品を作ることができた

――製造において、オリエンタルベーカリーの強みを生かせた点はありますか?

松井:衛生面のチェックが厳しい機内食や、規定が細かい病院食用のパンを製造してきた経験が役立ち、安全・安心でおいしい商品を作るための基本プロセスを、新商品開発に生かすことができました。

――異なる分野で培った知見が活きたということですね! 商品開発だけでなく、配送についても新しいチャレンジはありましたか?

松井:それまで関西圏以外は配達業者に任せた納品を行っていましたが、今回ほどの量であれば、自社で配送を行った方がスピーディーかつ輸送コストの削減につながるのではないかという結論に達しました。そこで今回のお取引を機に配送網を見直したことで、自社便配送エリアの拡大にも繋がりました。

パンを通じて地域を支え、感謝の気持ちをつなげたい

――今後、オリエンタルベーカリーに期待することは何でしょうか?

池下:学校給食に求められる規格と、パンの作り手としてのこだわりを両立させながら、安全・安心で、おいしいパンの種類を今まで以上に増やしていただけると嬉しいです。

また、私たちは食品の提供を通じて、社会に「感謝」の気持ちを増やしていくことをビジョンとしています。そのために社員一人ひとりが「困っている人を助ける」「パートナーと協調する」という意識を持てるように心がけています。オリエンタルベーカリーさんには子どもたちからの「ありがとう」「おいしかった」という言葉を共有していきたいと思いますので、これからもよろしくお願いします。

松井:こちらこそ引き続きよろしくお願いいたします。私たちは池田商店様という地域に根付いた卸業者を通じて、地域社会に貢献できることをありがたく思っています。これからも地域を支えるという視点を絶えず持ちながら、「パンを通じた社会貢献」という私たちのモットーを実現できるように頑張っていきたいと思います。

※掲載情報は2022年7月現在のものです。

記事内に登場したパン

プロフィール

池下 修弘

株式会社池田商店 高松拠点 拠点長

大学卒業後、他社にて営業経験を積み、株式会社池田商店に入社。営業と配送等を兼任し、拠点管轄しながらお客様と密接な関係を築き活躍。現在、学校給食等を中心に安心、安全な食材を提供し続ける。

松井 紗代子

株式会社オリエンタルベーカリー 第一営業部地方発送 課長

大学卒業後、営業職としてオリエンタルベーカリーに入社。入社当時は宅配事業部に配属され、一般家庭へのパンのお届けから始まり、その後関西エリアでの法人向け営業を経て、現在は全国エリアへの法人店舗への拡販を手がける。「パンで笑顔をお届けする」をモットーに日々営業活動に取り組んでいる。